2021年5月12日

ブリード(昇華)現象について。

ここ10年ほどで所謂ドライ系と言われる素材のTシャツが、主流になりつつあります。

イメージとしては全体の3割を越えてるように思います。発汗撥水効果があるので、主にスポーツ系の需要だと思います。

この素材はポリエステルです。これが、少し厄介なのです。当方はラバーインクを使用してますので、熱乾燥が必須となります。

およそ170度くらいでインクを固まらせて繊維に定着させます。この時にポリエステル素材は自身の染料が熱により上に上がって来る現象が起こります。

そして、その染料はインクの中に入り込み変色させてしまうのです。これを昇華現象(ブリード)と呼びます。

この現象を使った表現方法もあります。

サッカーなどのユニフォームなど、華やかな物がありますね。あれらはこの現象を利用した染め方なのです。昇華転写と言われる方法がそれです。

しかし、我々シルクプリントでは大敵なのです。黒のTシャツに白でプリントすると、黒の染料が白のインクに入り込み、グレーになってしまうのです。

写真は真っ黄色をプリントしたのですが、ご覧の様に汚い色になってます。

水性インクで自然乾燥させれば、ほぼこの現象は起こりません。

しかし当方は設備的にもこの方法は苦手なので、別のノウハウでこなしてます。

ある温度を超えるとブリードが起こるので、そのギリギリの低温で乾かしてます。ただ、これだとインクも乾燥不良を起こして剥がれる事になるので、助剤を入れて対応してます。

混紡物も殆どこの現象が起きますから、プリント前に品質表示をチェックするのが必然作業となってます。30%を越えたポリエステルが入っていれば必ず起こりますね。

この様に少し手間がかかりますが、これだけの需要があるので注意を払いながらやっていかなければなりません。

また、染料の質によるバラつきもみられます。

余りしない物と極端に酷い物があったりするので、ドキドキ物です。

このブリードを起きにくくする方法の染め方もあるようです。コスト的に高くなるので、各メーカーさんも取り入れてないようですが、我々としては是非とも採用して欲しいものです。