2019年3月10日

特殊シルクプリント#5 刺繍風プリント

刺繍風プリント

これは当方が独自に開発したプリント技法です。

 

刺繍風プリント

 

写真だと少しわかりにくいのですが、本物の刺繍のような仕上がりになってます。発砲プリントと組合す事によりその質感を表現してます。ご存知の通り刺繍は高級感がだせますが、その分コスト的にも高くなってしまいます。そこでなんとかプリントで表現できないかと色々実験しまして満足のいく方法を開発できました。問題はこの原稿(データ)です。これを描きこむことはかなり難しいと思いますし、出来ても上手くプリントとして刺繍のように再現出来るかと言うと、難しいと思います。やはり直線的な線だけでは刺繍の質感は出せないのです。なぜなら刺繍は糸を組み合わせる事による立体感や糸自体の毛羽感が必要になってくるからです。

そこでこの方法の原稿(?)は刺繍の現物になります。スキャンしてそこから製版データにしていくのですが、これはさすがに秘密のノウハウになります。この技法の誕生は3社の協力が重なり出来たのです。あるお客様から手振り刺繍の商品(ジャケット)を見せられ、「これと同じようにプリントTシャツ作りたいんだけど?」との相談を受けました。そこですぐひらめきました。(発砲使えば何とかなるんじゃない?)「研究してみます」

早速製版屋さんに相談しました。「スキャンデータを色々手直ししなければなりませんが、やってみます」

プリント色を何色にした方がよいか、色目は何色が合うのか、など色々相談しながら何度かテストを重ね、3社(メーカー、製版、プリント)が満足する物が出来上がりました。星形のデザインはその当時の流行りもあり、大ヒット商品となり未だにその人気は続いております。これを受けてその後も何パターンかの商品を作っております。これなどは特殊プリントの成功例だと思いますが、需要の開拓と挑戦する気持ちが大切なのだなと改めて感じます。この事例でもわかる通りやはり、独りよがりにならない機会が大切ですね。プリント屋ならびに製版屋が頑張って作った物はどうしても”楽屋落ち”が否めません。市場を見据えた新たな技法しか生き残る事が出来ないのは過去の事例を見れば明らかです。当方にもこのような類の技法が沢山あります。このページで紹介してる物の中にもそんな事例がある事も正直にお伝えします。特殊技法は確かに見た目とその珍しさで最初は飛びつくのですが、これに頼り切ってしまうとすぐ飽きられてしまうのも事実です。これらを踏まえ今後もその開発に取り組んで行きたいと思います。

刺繍風プリント2